●門火(かどび)●
迎え火とも言います。これは最近東京で行っているところはめったにお目にかかりませんが、地方では未だに13日の夜、門口で松明などを焚きながら、亡き先祖をお迎えする行事です。仏さまをお迎えするわけですから、その目印となり、迷われるこのとのないようにしているのです。
年配の方々ですと浴衣を着て、家族揃って「おじいちゃん、おばあちゃんおいでください」などといいながら、お迎えした故郷での懐かしい思い出があることでしょう。
●精霊送り(しょうりょうおくり)●
送り火とも言います。お迎えした仏さまをお送りする日は、多くは15日か16日で、河原でオガラを炊いたり、毎年8月広島の原爆記念式典のときにテレビで報道されて見ている人も多いと思いますが、送り舟といって、舟の上にローソクを灯し供え物と一緒に、川や海に流すところもあります。
ローソクを灯すのは火災の危険がありますので、広島の記念行事として行なわれ、きちんとした管理の下に行なわれているところ以外では、あまり一般的ではないでしょう。このような行事が今でも行われている場合は、笹舟に供物のみを乗せて流したり、お寺などの決まった場所だけで行なわれる、というのが多いのではないでしょうか。
●盆棚(精霊棚)●
お盆にお迎えする精霊は祖霊、新仏(にいぼとけ:前の年のお盆から次の年のお盆までに亡くなった人の霊)、無縁仏の3者の霊です。これらの精霊をお迎えした後、その精霊をお祀りするために盆棚(精霊棚)を家の中に設けます。通常はお仏壇の前に設けるケースが多いようです。
棚は土地によって違いはありますが、テーブルや机などを台にしてその上にござやむしろなどを敷き、仏壇から御位牌や過去帳などを移して、その祭壇の後方中央に安置します。他には花立て、線香立て・仏具なども並べ、お供物としてそうめん、だんご、季節の野菜、果物などをお供します。
イメージとしては右図の通りですが、このような祭壇はお盆のみに臨時的に設けるもので、特にこのような祭壇を飾らない場合には、いつもの仏壇の前机などを利用し、右図に倣って整えた上で、こころを込めた御供え物をするだけでもいいでしょう。現在の仏壇はこの盆棚が進化したものだという説もあります。
お盆棚を設けるのは、たいていは13日の朝ですが、新盆(新仏のある家庭)の方は早く1日から7日ごろまでに設け、特に念入りにお飾りをします。これらの準備が整ったところでお坊さんに供養していただくのが「棚経(たなぎょう)」というわけです。
盆棚の飾り方やその時期などは、それぞれの地方により異なるようですが、ともかくご先祖さまのお好きだったものや、伝統につちかわれた供え物を差し上げ、丁寧に供養をしてお帰りいただくようにします。